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2001年11月28日

“ワンギリ”のリダイヤルで10万円請求の事件に学ぶ

まさに犯罪は時代を映す鏡。流行を先取りして、次々と新たな犯罪が生み出される。そして今、全国で多発する新手の事件が耳目を集めている。“ワンギリ”を利用した詐欺まがいの手口だ。

“ワンギリ”と言っても年配の人なら知らないのがふつうだろう。1回だけ携帯電話の呼び出し音を鳴らして切ることだ。携帯電話は着信履歴が残るので、1回だけの呼び出し音でも履歴に残り、しかも相手が出る前に切るので、料金もかからない。これは携帯に出にくいときに有効。例えば家族が会社のお父さんに連絡するときに便利。また、ワンギリで自腹を切らずに相手からの電話を待つという、姑息な節約もできる。

これを利用した事件は、ワンギリで通知された電話番号にかけると、出会い系サイトなどにつながり、それだけで10万円を請求されるというもの。もちろん法的な手続きなどを踏めば支払う必要がないのは明らかだが、電話で脅されることもあるとかで、面倒になるのを嫌ってあっさり10万円を払ってしまう、ということなのだろう。

事件に伴って、ネット上では該当する電話番号を一覧表示したメールが、チェーンメールのように出回っている。昔、当たり屋の車のナンバーが、ファクスで全国に広まったことがあった。その真偽のほどは明かでないが、ファクスからメールへとツールが移行したものの、性質は非常に似ている。

情報を受け取った人は“善意”で知り合いなどの親しい人が被害に遭わないよう、情報を伝達。その連鎖で、情報はたちまち全国にまで行き渡ってしまう。メールはファクスより転送が用意なだけに、情報が広がるスピードはファクスの比ではないだろう。しかし、メールを転送する前にちょっと考えてほしい。

個人的にもらったメールには、大半が“03”で始まる32の電話番号がある。まず、それが問題の電話番号なのかどうか、証拠がない。しかも、車のナンバーよりもはるかにプライバシー侵害の恐れが高い。本当の問題の電話番号ならまだしも、もしかしたら誰かの嫌がらせで、知り合いの電話番号なのかも知れない。さらには、転送の途中で関係のない電話番号を付け加えるのも簡単だ。

仮に本物の問題の電話番号だったとしても、この情報が知れ渡るころには、とっくに電話番号を変えているはずで、その時点では電話番号には何の価値もないのは明らかだ。さらに想像してみてほしい。ネット利用者の割合からして、おそらく1千万とかという単位で情報が広がるはずだ。もし、そのうち0.1%でも一覧表にある電話番号に電話しただけで、その電話は朝から晩まで鳴りっぱなしになる。もしその電話番号のひとつが、あなたの家の電話番号だったとしたら…。

こうした危険性をはらんでいるのがネットワーク社会である。知らず知らずのうちに“悪”に荷担してしまうことがあるが、もはや“知らなかった”ではすまされない。それなりのマナーやスキルがなければ、ネットワーク社会で叩かれる可能性があることを自覚しなければならない。

この事件から容易に予想できるのは、“善意”を利用した情報の拡散を狙ってウイルスを配布するという手口だ。すでに米国などでは、「ウイルスに対する警告」などを装ったウイルス付きのメールが何度か流行している。幸い英語ばかりで、日本語では同様のものはまだ現れていないと記憶している。しかし、今回の情報のメールで、電話番号を記したファイルが添付してあり、それが実はウイルスに感染していたとしたら…。

投稿者 masatosato | カテゴリー:コラム | コメント (0) | トラックバック (0)